あらすじ
ようやくアノマラド大陸に帰れると思ったら、霊夢からそこは対象外と言われる。
キュピル
「あー、いかにファンが素晴らしいチート補正を持っているか改めて実感させられるな・・・。」
ジェスター
「√。」
キュピル
「今更√ネタ出しても覚えてる奴いないだろ・・・。」
フラン
「結局外の外に出る事は出来ないの?」
レミリア
「今はって事よ。でも何時になるか分らないんじゃね。フラン、屋敷に帰るわよ。」
フラン
「えええーーー!!何で!?」
レミリア
「外の世界にはちゃんと行かせてあげるわよ・・。そんなに心配しないで。ただ今すぐには無理だからそれなら
そこの奴隷が準備整えてくるまで屋敷で待ってましょって話よ。」
ジェスター
「奴隷を一人捧げるとハンマー30に変換されます。」
キュピル
「それびっくりする事に最低でも1200人捧げてる。」
レミリア
「何の話しをしてるのよ・・・。とりあえず、私とフランは帰るから。」
フラン
「むぅっー。お人形さん、なるべく早くしてよ。」
キュピル
「あー、はいはい・・・。」
フランとレミリアが空を飛んで紅魔館へと戻っていく。
ジェスター
「結局キュピルどうするの?」
キュピル
「どうするもこうするも、その紫という人の元へ尋ねるしかないだろう。そもそも自分達がしっかり帰れなければフランを連れて行くとかいう話しにすら辿りつけない。」
霊夢
「本当に紫の元に尋ねる気なのね?」
キュピル
「勿論。」
霊夢が腕組みし何か悩めしそうな顔をする。
そして人差し指を上に向けてキュピル達に向けて喋り始めた。
霊夢
「紫の元へ尋ねる途中に化け狐が襲いかかってくるかもしれないから、その時は私に言われてここに来たとでも言えば一応通してくれるはずよ。まぁ、滅多にないと思うけど万が一ね。」
キュピル
「・・・化け狐?」
ジェスター
「キータンの事じゃないの?」
キュピル
「あいつ態々幻想郷から来てたのか。」
霊夢
「それから紫はよく眠る妖怪よ。もしかすると冬眠しているかもね。」
キュピル
「・・・それは確定?」
霊夢
「さぁ。行ってみないと分らないわね。」
キュピル
「やっぱりそうなるか・・・。とりあえず紫さんの自宅を教えてくれ。」
霊夢
「紫の家は・・えーっと、歩いてそっち行ってこっち行って向こう行って・・・・。
・・・・。
・・・・・・・・・・。
・・・・って行けば辿りつけるわ。私の直感だけど。」
キュピル
「直感で家に辿りついてたまるか!」
霊夢
「あら、私の直感はよく当たるのよ。騙されたと思って行ってみなさい。」
キュピルがジェスターと向き合う。ジェスターは「どうする?」と言いたげな顔でキュピルの顔を見つめていた。
キュピル
「とりあえず行くだけ行ってみようか・・・。一応道順はメモしたし、もし何もなかったら戻ってもう一度情報収集しよう。」
ジェスター
「うん。」
霊夢
「いってらっしゃい。当たってたらお礼にお賽銭入れて頂戴ね。」
キュピル
「当たってたらね。」
霊夢
「当たってなくても入れて頂戴!」
キュピル
「か、帰ったらまとめてお賽銭入れるよ・・・。」
霊夢
「約束よっ!」
キュピル
「(か、金絡むとこえぇぇっー・・・。)」
・・・・。
・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・。
田舎道としか言いようのない田んぼに囲まれた道を歩くキュピルとジェスター。
時刻は既に午前1時。しかし、幻想卿に来てから刃昼夜逆転しており二人の目は覚めている。
キュピル
「道を教えてもらったのはいいが、案外遠いな。というか山の中にひっそりとあるんだな・・・。」
ジェスター
「その後、キュピルの姿を見た物は誰もいなかった。」
キュピル
「ジェスターは?」
ジェスター
「私は助かるのー。」
キュピル
「はいはい、平常運転ってことな・・・。」
ジェスター
「ところで夜の山に登るのは怖くないのー?」
キュピル
「何処に怖い要素がある。」
ジェスター
「ほら、ネクロモーフが出てきたり・・・。」
キュピル
「それは怖い。超怖い。」
ジェスター
「あ!!そこにネクロモーフが!!」
キュピル
「んな馬鹿な話しが・・・。」
小傘
「驚け!!うらめしやぁぁーー!!!!!」
キュピル
「う、うわああぁぁっっっ!!!?」
突如暗闇から傘を持った何者かが飛び出しキュピルを驚かす。
反射的にキュピルの拳が飛び出し顔面を思いっきり殴る。
小傘
「い゙っ、いだい・・・。」
キュピル
「お、お、お、驚かすのがいけねーんだよ!!!ネクロモーフめ、退治してやる!!アイザック、怒りの踏みつけ!!」
小傘
「ぎゃー!助けてー!」
・・・・。
・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・。
ジェスター
「プラズマカッターでバラバラになる前に助けたよ!」
キュピル
「時として銃器より工具の方が強い事もある。ンッンー、こいつは名言だな。」
キュピルが何処からともなくプラズマカッターをあちこち照準を向けて遊びだす。
小傘
「いたたた・・・。ちょっと痛い目にあったけど・・・。・・・へっへっへー。お兄さん。さっきはマジビビリしたでしょ?」
キュピル
「あ゙ぁ゙ん!?」
小傘
「ひー!すいません!で、でもその!最近は驚いてくれる人間全然居なくて嬉しかったんです!」
キュピル
「正直ネクロモーフの話題が出ていなければ俺は驚かなかった。スルーしただろう・・・。」
小傘
「本当かなー。あ、私もう一度隠れるから驚くかどうか試させてもr・・・。」
キュピル
「このラインガンで貴様の四肢・・・。」
小傘
「わーーーー!!すいません!!」
ぴょんぴょん飛びながら何処かへ飛んで逃げて行く小傘。
ジェスター
「結構怒ってるでしょ?」
キュピル
「あまりの自分の情けなさについ(ry」
ナズーリン
「あーあー、君君。その工具。くれないかな。」
突如キュピルとジェスターの後ろから謎の人物に話しかけられた。
・・・頭についた丸い耳が特徴的でお尻にも細い尻尾がついている。その姿はいかにもネズミ。
キュピル
「ん、誰だ?ネズミ?」
ナズーリン
「ネズミだからって馬鹿にしたら痛い目に合うよ。さぁ、大人しくその工具を渡すんだね。さもないと・・・。」
突如現れ、キュピルに高圧的な態度を向ける謎の人物。
両手に持ってる針のようなものがラインガンに反応しているようだが・・・。
キュピル
「用途は?」
ナズーリン
「さぁね〜。」
キュピル
「このラインガンを試し打ちしてみるか・・・。」
ナズーリン
「うぇっ!ちょ、ちょ!タンマタンマ!・・・っと、見せかけてうおりゃぁっー!」
キュピル
「うわ、何しやがるこのドブネズミめ!!」
ナズーリンがキュピルに飛びかかりラインガンを奪おうとする。トリガーを引きありとあらゆる物をを切断するカッタ―が飛び出すが
あらぬ方向へ飛んで行き、沢山の大木を真っ二つにして刃は消えた。
ジェスター
「キュピル、気をつけて。その子ナズーリンって言う見たいで人間をペストに感染させる程度の能力があるみたいだよ。」
キュピル
「え、何それ滅茶苦茶怖い。」
ナズーリン
「そんな能力じゃないっつの!!確かにペストを流行させたのはネズミって言うけどさ・・・。」
キュピル
「でえーい!こんな危険な道具を見ず知らずの奴に渡す訳にはいかねぇー!」
ナズーリン
「それがないと船が空を飛ばないんだ!」
それを聞いた瞬間、キュピルの動きがピタリと止まる。
キュピル
「・・・船が・・・空を飛ぶ・・・?・・・・まさか!」
ジェスター
「ヴァイスー、アイカー、ファイナー!」
キュピル
「思わず反応しちまったが・・とにかくキュピル違いだっつの。
ちょいちょいちょいちょい。工具なんか貸してあげるからその空飛ぶ船見せてくれよ。」
ナズーリン
「え、いや・・・急にそんな乗り気になられると・・そのー・・・・。」
キュピル
「いいぜ、貴様がその船を見せないと言うのならば!まずはそのふざけた幻想をぶち殺(ry」
ナズーリン
「(うわー・・。何か凄いヤバイ奴に会っちゃったよ・・・。)」
・・・・。
・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
ムラサ
「んー。やっぱりこれ切らないと傷つくなぁ・・・。でもあんな大きい枝どうすれば・・・。」
艦長室から外を見渡し状況把握するムラサ。彼女がこの空飛ぶ船の船長を務めている。
ナズーリンを地上に降ろす際、一度船を着陸させたのだがその際地盤沈下し、根の沈んだ複数の木々が船の上に乗っかってしまった。
このまま飛ばしても特に問題はないのだが、大事な船に深い傷跡と凹みが残ってしまうため切断して船から落としてから飛びたい。
しかし想像以上に木の枝が大きくノコギリ何かで斬ろうとするのならば切断は数日はかかるだろう。
そこで本来の予定を変更してナズーリンにこの大木を一瞬で切ってくれる道具を探しに出させていたのだが・・・。
ムラサ
「・・・おや、あれは・・・。」
・・・。
・・・・・・・・・。
ナズーリン
「あー、これこれ。この大木をそのラインカッターでスパッと斬ってよ。」
キュピル
「アイザック、怒りのラインカッター!」
ジェスター
「アイザックと怒りって言葉使わないと駄目なの?」
キュピルがラインカッターのトリガーを引くと、刃が飛び出し船の上に乗っかっていた大木を真っ二つに切断した。
根の支えが無くなった大木はそのまま船からずり落ちて行った。続いてもう一本、もう二本の大木も同様に切断していき障害を全て取り除いた。
キュピル
「よしっ。」
ジェスター
「その別世界の工具いいね。ファンに作ってもらったら?」
キュピル
「事故が怖い。」
・・・。
・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・。
ムラサ
「おぉ、流石ナズーリン。助っ人を呼んで来てくれたようだ。これで船を飛ばせる・・・。」
ムラサが簡単なメンテナンスを終えるとさっそく始動させ、船は宙に浮き始めた。
それと同時に船長室にナズーリンが入ってきた。
ナズーリン
「あー、ムラサ船長・・・。」
ナズーリンがバツの悪そうな顔をしてムラサの元へ戻ってきた。
ムラサ
「おかえりナズーリン。戻ってきたのね。呼んで来てくれた助っ人のお陰で船に大きな傷を残さずに済みました。」
ナズーリン
「あー・・あのさ。ムラサ船長。何かやっばーい奴船に乗せちゃったんだけど・・・。」
ムラサ
「・・・やっばーい奴?」
キュピル
「うおおぉぉぉー!!すげぇっ!!見ろよジェスター!この船空飛んでるぞ!!」
ジェスター
「デルフィナスって呼ぶ?それともリトルジャックって呼ぶ?」
キュピル
「大きさ的にはリトルジャックの気もするが。」
・・・・。
ムラサ
「・・・ナズーリン、どうして乗せたの?大木切断させるだけでよかったのですが。」
ナズーリン
「いやー・・・。こっわーい工具で脅されて・・。」
ムラサ
「・・・・・・・。」
ナズーリン
「わ、私はもう他の所に行く。君達、後は満喫シテッテネー!」
そういうとナズーリンは船長室から飛び出し船の甲板から飛び降りてしまった。
落下自殺かと思ったキュピルとジェスターが慌てて下を覗くが宙を飛び低空飛行しているナズーリンを見て溜息をつく。
キュピル
「最近のネズミは空も飛ぶんだな・・。」
ムラサ
「あの、船の障害を取り除いて頂きありがとうございました。所で貴方達は何方ですか?」
キュピル
「ん?はっ!もしやこの船の船長・・?私の名前はキュピルと申します。以後お見知り置きを・・・。」
ジェスター
「皆のアイドルジェスターだよ!」
ムラサ
「私は村沙、この聖輦船の船長です。」
キュピル
「おぉ、やはり船長!!いやぁ、実は空飛ぶ船って子供の頃からいつか乗ってみたいって思ってたんだけど
今日こうして乗れて今物凄く感動しているんですよ!」
ムラサ
「(うーん、困りましたね・・・。この後一度魔界へ戻る予定何ですがこのままですと彼等は戻れなくなってしまう・・。)」
ジェスター
「キュピル、この船魔界へ行くんだって。」
キュピル
「魔界?それはまずいな。」
ジェスター
「でも魔界って地下にあるんじゃないの?扉開けたらニジリゴケとかトカゲオトコがいて・・・。」
キュピル
「全然違う。」
ムラサ
「(何で心読めた・・・。)
・・・そういう事なので、感動している所大変申し訳ないのですが船から降りて頂けないでしょうか?
せっかく手伝って頂いた所大変申し訳ないのですが・・・・。」
キュピル
「うーん、まぁ俺達は完全に赤の他人だし無理やり乗船した訳だからここは素直に言う事を聞くのが筋だよな。」
ジェスター
「ねーねー。せめて八雲紫?って人の所まで送ってよー。」
ムラサ
「それぐらいでしたら構いませんよ。道は分りますか?」
キュピル
「ここにメモがある。これで分るかな?」
ムラサ
「どれどれ・・・。・・・分りました、大丈夫そうです。そーれ、舵をきれー。」
ムラサが手を振ると船は方角を変え八雲紫の家があると思わしき場所へ向かい始めた。
キュピル
「思いがけない近道が出来たな。」
ジェスター
「ねーねー、紫?って人の所に会いに行った後どうするの?」
ジェスターがキュピルの肩に寄りかかりながら話しかける。
肩に寄りかかっている時は少し疲れている証拠だ。歩き疲れたのか、連日の疲れが今出て来たのか。
キュピル
「どうする・・・って、何が聞きたいんだ?」
ジェスター
「どうやってナルビクに返してもらうかって事だよ。」
キュピル
「普通にお願いするさ。」
ジェスター
「霊夢言ってたよね。冬眠してるかもって。冬眠してたらどうする?」
キュピル
「うーん・・・。目覚めるのに時間かかりそうだったら困るよな・・・。頑張って起きて貰いたい所だが・・、」
ジェスター
「でも気持ちよく寝てる時に全く知らない人に叩き起こされるのも嫌だよね。」
キュピル
「俺だったら怒る。
そうだよなぁ・・・。まぁ、とりあえず辿りつくのにまだまだ時間はある。沢山パターンを考えてみるのも悪くは・・・。」
ムラサ
「つきましたよー。」
キュピル
「早っ!?」
ムラサ
「(というか、実は元々そんなに離れていなかったりするんだけど・・・。)」
キュピルが甲板から下を覗き見ると確かに一軒の家がポツンと立っている。
キュピル
「んな馬鹿な・・。本当に家があった・・・。」
ジェスター
「霊夢の直感凄いね。」
キュピル
「(極普通の一軒家だ・・・。豪邸みたいなものを想像していたんだが・・・。)」
ムラサ
「今縄梯子降ろしますね。」
キュピル
「お願いします。」
ムラサが縄梯子を降ろすと、キュピルはその縄梯子を伝ってゆっくりと降り、ジェスターは飛んで髪を上下にパタつかせながら降下していった。
ジェスター
「一瞬だったねー。」
キュピル
「全くだよ・・・。船長さん!ありがとうございましたー!」
ムラサ
「お元気でー。」
そういうと聖輦船はそのまま何処か彼方へと飛んで行った。
キュピル
「・・・あっ!!やべ!!船に工具置いて来ちまった!!」
ジェスター
「そもそもあの工具何処から取り出したの?」
キュピル
「気が付いたら手元に・・・。」
ジェスター
「本当に?マーカーに幻覚見せられたんじゃないの?」
キュピル
「絶対にこのネタ分る奴いないからやめよう。日本で発売されていないゲームのネタとか・・・。
えーっと・・・。ん、普通にインターホンあるのか。この家。」
ジェスター
「押していい?ピンポーン。」
キュピル
「返事返ってきてから押せよ。別に構わんが・・・。」
・・・・・。
しばらくして正面玄関が開き、狐の尻尾が九本ついている背の高い女性が現れた。
キュピル
「(ジェスター。九尾の狐だぞ。九尾の狐って色んな伝説あったよな・・・。)」
ジェスター
「(動く草を一度に斬ると現れてクイズ問いかけてくる伝説とか?)」
キュピル
「(キータンじゃねーよ!)」
藍
「ん?人間と・・・妖怪・・・?」
ジェスター
「妖怪じゃないよ。ジェスター種だよ!」
藍
「・・・これは失礼。人里からこんな遥々遠くへある、この家へ一体どのような御用で?」
キュピル
「紫という方にお願いがあり参りました。」
藍
「・・・ん?紫様に御用が?しかし紫様はただいまお休み中であり会わせる事は出来ません。」
キュピル
「常識的に考えて夜に赤の他人の家を訪ねるって迷惑にも程があったな・・・。
すいません、また朝に出直して来ます。」
藍
「その前に用件をお伺いしてよろしいかな?」
ジェスター
「えーっとね、私とキュピルは外の世界から来てて紫って人に頼めば返してくれるって聞いてここに来たよ。」
藍
「外来人?それでしたら博麗神社に霊夢という方が居ますから彼女に尋ねればすぐに返して貰えますよ。」
キュピル
「ところが・・。実は俺達は日本という国から来たのではなくて『アノマラド大陸』という別世界から来てまして・・・。
博麗神社からでは帰れないと霊夢さんに言われて、ここに訪ねて参りました。」
藍
「・・・なるほど。うーん・・・。個人的な意見としては貴方達に協力してあげたい所ですが・・・。
紫様は物凄く気難しいお方で『はい、わかりました』とすぐに協力して頂けるか難しい所です。」
ジェスター
「でも、霊夢からの頼みって言えば紫って人は返してくれるって言ってたよー?」
藍
「・・・なるほど、確かに霊夢さんからの頼みと言えば返してくれるかもしれません。」
キュピル
「余程紫さんは霊夢さんに対して恩義か何かを感じているらしい。」
藍
「そんな難しい事じゃありません。ただ紫様は霊夢さんの事を気に入っているだけです。」
???
「気にかけている、のよ。」
突如藍の隣で空間が裂き、その中から扇を持った女性が現れた。
藍
「うわっ!紫様起きていらしてたんですか!!」
紫
「主人に向かって『うわっ』とは、なんという態度。お仕置きが必要かしら?」
紫が扇を畳んでペシッと頭を叩く。
藍
「も、申し訳ありません・・。」
キュピル
「(・・・また凄そうな人だな。)」
ジェスター
「(うん。)」
紫
「話しは全部聞いてるわ。貴方達をナルビクに返してあげてもいいけど条件がある。」
ジェスター
「金銭の要求だー!」
紫
「んなミミッチィ事しないわよ。」
藍と同じようにキュピルの頭を扇で叩く。
キュピル
「いてっ。って、何で俺・・・。」
紫
「ペットの躾は飼い主の責任。」
ジェスター
「じゃー、あの狐さんも粗相起こしたら紫の責任になるの?」
紫
「えぇ、そうよ。だから粗相を起こしたらきつーーいお仕置きをしないといけないの。」
藍
「ひ、ひぃぃ〜・・・。」
紫が扇で顔の半分を隠しつつを藍をちら見する。
キュピル
「(人生様々な出来事を経験し、かつ色んな人にあったが紫さんのようなタイプの人は見た事がないな。)」
ジェスター
「私はー?」
キュピル
「お前も突然別世界の道具取り出したり色んな意味で見た事がない。」
ジェスター
「異世界の道具を取り出してくる程度の能力!」
紫
「それ普通に凄い事ね。」
キュピル
「(ただし、もしもシリーズ限定。)
・・・・おっと、それで条件というのは?」
紫
「ん?・・・そうねー・・。本当ならイチャモンつけて断ろうって思ってたけど霊夢の頼みだから・・。」
キュピル
「(おい・・・。)」
紫
「ちょっと天界に行ってある人物の様子を見てきて貰える?」
キュピル
「天界にいるある人物?」
ジェスター
「それって妖夢の事かな?」
キュピル
「結局会えずじまいだったが幽々子さんかもしれないぞ。」
紫
「それは冥界ね。あの子達は良い子だからいいの。問題なのは天界にいる、あいつ。」
キュピル
「(何か因縁なようなものを感じるな。)」
紫
「比那名居天子っていうんだけど、色々幻想卿に悪さをする子でね。変な事してないか見てきて頂戴。」
キュピル
「まぁ・・・それぐらいなら・・・。ジェスターも別にいいよな?」
ジェスター
「うん。」
紫
「じゃ、ちゃちゃっと行って頂戴。」
キュピル
「しかし行き方が・・・うわっ!」
突如キュピルとジェスターの足元にスキマが現れ穴の中へ落ちて行った。
が、次の瞬間には既に別の場所で尻餅をついていた。
キュピル
「あいっててて・・・。ドコなんだよ・・ここは・・・。」
紫
「ちょうどあいつの近くに飛ばしたから。んじゃ、あいつを適当に懲らしめてちょうだい。」
キュピル
「ん、さっきと言っている事がちg・・・。」
キュピルが更に紫に問おうとした所でスキマは閉じてしまい会話の手段が断たれた。
・・・。
・・・・・・・・。
藍
「・・・紫様、出すぎた真似をお許しください。何故ただの人間を天界、それも天子の元へ送ったのですか?」
紫
「あの人間。タフそうだからよ。ヘイトを幻想卿に向けられるより、あの人間に向けさせて元の世界に返してあげれば平和になるでしょう?」
藍
「・・・そういうことですか。」
キュピル
「うーん、しかしここが天界か。何か普通の場所に見えるな。地面も雲だとかそういう訳じゃなく至極普通の石畳・・・。」
ジェスター
「天子?って子がすぐ近くに居るって言ってたけど何処何だろう?」
天子
「どおりゃぁぁぁっーーー!!」
キュピル
「んぐはっ!!」
突如上空から謎の女性がキュピルの顔に飛び蹴りを行い遠くへ吹き飛ばす。
数メートル吹き飛んだ後すぐさまキュピルが立ち上がり、文句を言う。
キュピル
「いきなり何しやがる!!」
ジェスター
「何するだー!ゆるるさーん!」
キュピル
「それ俺ですら知らないネタだぞ。」
天子
「あんたから紫の臭いがするわ!!その臭いを嗅ぐだけで腹が立つ!」
腰まで届く青のロングヘアーにブーツ姿。そして桃のついた丸い帽子が何よりも印象的の女性がビシッとキュピルを指差して叫び散らす。
キュピル
「臭いで誰なのか分る所を見る限り相当変態らしい。」
天子
「WRYYYYYYYYYY!!!!!!」
キュピル
「ぐえっ!!」
キュピルの頭上に巨大な注連縄つきの岩が落下しキュピルを潰す。
ジェスター
「JOJO?」
天子
「皆が皆WRYY!!って言うからついつい私も言っちゃうのよね〜。何の事か知らないけど。」
キュピル
「誰だよ、一番最初にWRYYY!!を広めた奴は・・・。」
キュピルが注連縄のついた岩を持ち上げ何処かに投げ飛ばす。
天子
「ん?要石をぶつけられたのに動かす事が出来るなんて人間にしてはやるわね。流石は紫の使いと言ったところかしら。」
キュピル
「あー、俺確かに紫って人からあんたが悪さしていないか見てくれって頼まれたけど・・・。
何でこんな事になっているんだか・・・。」
ジェスター
「ほら、キュピル。早く注意しないとナルビクに帰れないよ?」
キュピル
「そうだな。あーおっほん。えー、天子はん。悪さしたらあきまへんでー。」
天子
「私の事舐めてるでしょ。」
キュピル
「まぁまぁ・・・。実際にどれ程の悪さをしたのか俺は聞いていないからさ・・・。
蹴ったり何か投げてきたりする程度の悪さならジェスターでもする。」
ジェスター
「やって欲しいの?」
キュピル
「ごめんなさい。」
天子
「ふっふっふ!聞いて驚きなさい。私は大地を操る能力を持っているのよ。あの博麗神社を地震で倒壊させたこともある!!」
キュピル
「地震を意図的に起こせるとは相当に恐ろしい奴だな・・・。」
天子
「ちなみに、日本で起きた東北地方太平洋沖地震も私が起こした。」
キュピル
「貴様が原因カァァッーーー!!!?」
天子
「んぎゃっ!」
キュピルが天子をマジ殴りし吹き飛ばす。
ジェスター
「あれ?日本について知らないんじゃなかったの?」
キュピル
「ここではそういう突っ込みはしてはいけない。」
天子
「な、な、な、な、殴ったわね!!!!人間の分際で!!!しかも嘘だったのにっ!!」
キュピル
「嘘かよ。見栄っ張りだな。」
ジェスター
「ねーねー、ところで何で帽子に桃なんかつけてるの?」
キュピル
「こう、誰かが悪戯で乗せてまだ気付いていないんだろう・・・。可哀相に・・・。」
天子
「違うわよ。ふふふ、この桃はなんと・・・!」
キュピル
「中から桃太郎が産まれて戦力になる。」
天子
「おりゃりゃりゃりゃりゃ!!!」
キュピル
「いてててて!」
・・・・。
・・・・・・・・・・。
キュピル
「あの人プライド高いな。」
ジェスター
「レミリアと同じくらい高いね。」
天子
「この桃を食べると・・ってもういい・・。何か説明する気力も失せたわ・・・。
でもまぁいいわ。暇つぶしにあんた達を征伐しましょう。まずはそこの白い奴から!!」
ジェスター
「ジェスター種はワシントン条約で保護された生き物です。はい、これその調印書。」
キュピル
「え?これ本物?」
キュピルが調印書に気を取られている隙に天子が接近し中段蹴りを繰り出してきた。
即座に振りかえって右腕で蹴りをガードする。
天子
「むむっ・・・。」
キュピル
「見た目に反して意外と接近攻撃が好きなんだな・・・。って、さっき俺じゃなくてジェスターからって言わなかったか・・?」
天子
「フェイクよ。油断したあんたを吹っ飛ばすつもりだったけど・・。やるわね。
あとやっぱりワシントン条約本当だったら黒服の人が来て焼き土下座させられたら怖いし・・・。」
キュピル
「どうみても後者が要因だろ・・・。」
ジェスター
「本当に申し訳ないと思うなら例え肉を焦がs・・」
キュピル
「もういい。」
天子
「それにしても私の蹴りを腕で防いでなんともないなんて本当に大した人間ね。本当は腕折れてたりしない?」
キュピル
「言われてみれば腕が大分痛い。あいったたたた・・・。」
天子
「隙あり!!!」
キュピル
「うわ、あぶねっ!!!」
キュピルが痛がっている所を見て即座に天子が要石でキュピルの頭をかち割ろうとしてきた。
キュピル
「おい、危ないぞ!当たったら死んでたぞ!」
天子
「殺す気満々!!」
キュピル
「やっぱりここは一つ懲らしめてやろう。」
キュピルが愛剣を抜刀し構える。
天子
「ふふん。そんなボロボロの剣で私を斬れるのかしら?」
ジェスター
「キュピルの剣はモナ怒りの血って言って全然描写ないけどキュピルの怒りが貯まって行くとドンドン凶悪な剣になって行くんだよ。
仕組みはスーパーサイヤ人と同じー。」
キュピル
「言われてみれば仕組みが全く同じだ・・・。」
天子
「ふーん、って事は今はそんなに怒っていないって事なのね。意外と心が広いのね。」
キュピル
「うーん・・・ってか正直あんまり戦う気力がないんだ・・・。やっぱ戦うのやめよーぜ・・。」
キュピルが剣を鞘に戻して項垂れるポーズを取る。
天子
「あら。私の強さに気付いて恐れをなしたのかしら?」
キュピル
「もうそれでもいいよ。」
天子
「・・・あの・・・。ちょっと本当にやめちゃうの?私は戦いたいんだけど・・・。せっかくいい暇つぶしになると思ったのに。」
天子も腕をブラーンと下に下げて、いかにも拍子抜けしたかのようなポーズを取る。
キュピル
「だってさ、俺紫って人に頼まれて天子さんが悪さしてたら懲らしめてくれー何て言われたけど
現在進行形で何か悪さを企んでいるような事なかったし、悪い事もしてないし・・・。」
天子
「・・・私あんたを蹴ったんだけど・・・。普通蹴られたら怒る物よ?」
キュピル
「ん?あぁ、我が家では日常茶飯事だ。」
ジェスター
「てぇーい!!」
キュピル
「いってっ!!貴様ぶっ飛ばす!!」
天子
「(一体あの子と私と何が違うって言うの・・・。)」
・・・。
・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・。
キュピル
「この桃思ったより美味しくないなぁ・・・。」
ジェスター
「ねー。」
適当な石の上に座って天子から貰った桃を食べる二人。
天子
「天界じゃ桃と丹ぐらいしか食べ物ないのよね。しかも美味しく食べるために作られた物じゃないから両方とも味は悪い・・・。あーあ。」
キュピル
「んじゃ何のために作られたんだか・・・。」
天子
「その桃は食べると体を鍛える効果があるのよ。ふふっ、誰かが言ってたわね。私の体はナイフも通さないって。」
キュピル
「マジか!?んじゃこの桃食いまくれば俺も伝説のスーパーサイヤ人に・・・!」
天子
「何十年もかけて食べる必要があるわよ?」
キュピル
「・・・今日一日食っただけじゃプロテイン飲んだ程度の効果しかなさそうだ。」
ジェスター
「プロテイン何十年もかけて飲めばナイフも通さない体になれるの?」
キュピル
「ごめん、なれない。」
ジェスター
「アノマラドの世界だったら桃を何十年も食べるより石化魔法でも唱えた方が合理的かつ簡単だよね〜♪」
キュピル
「ジェスター、お前最近本当に難しい言葉使うようになったよな・・・。この桃は頭をよくする効果でもあるのか?」
天子
「さぁ・・・。」
紫
「ないわね。この子が証明しているもの。」
天子
「うっわっ!!!」
キュピル
「ぎょっ!」
突如二人の間から紫が割って入り不満そうな表情を見せる。
紫
「・・・ちょっと。私との約束果たしなさい、よっ!」
キュピル
「いてっ、いてっ!」
紫が人差し指でキュピルの額を強く突く。
キュピル
「いや、懲らしめる言われても何も悪い事計画してなさそうだったし・・・。」
天子
「ここであったが100年目!!幻想卿に大地震を起こしてでも、今日こそその首貰い受ける!!!」
キュピル
「前言撤回。落ちつけぇっー!」
キュピルが後ろから天子を抑えつける。
天子
「こらぁっー!離しなさい!!」
紫
「ふふっ。普通の人間一人に止められるぐらいあなたも弱体化したのね。」
天子
「お、おかしい!?私がたかが人間一人に・・・こんなはずは・・・!?」
キュピル
「桃の力が・・漲る!!!うおりゃぁぁっー!」
天子
「え、ちょ、やめなさっ・・・。」
そのまま天子を持ちあげると、後ろに倒れバックドロップを決める。
キュピル
「おーらっしゃぁっ!」
ジェスター
「ゴング鳴らしておくね。カンカンカンカーン。勝者マイクタイソーン!」
キュピル
「マイクタイソンはボクシングだぞ。」
紫
「あらら。頭打ち付けられたせいかのびちゃったわね。まぁ、こんなもんでいいわ。」
キュピル
「そろそろもうナルビクに帰してもらってもいいかな?」
紫
「えぇ、ご自由に。」
紫が扇子を上から下へと動かすと、目の前で空間に隙間が開いた。
紫
「通ればナルビクに帰れるわよ。」
キュピル
「ありがとう!さ、ジェスター。帰るぞ。」
ジェスター
「えー!やっぱりもう少しここにいるー!!」
キュピル
「何言っているんだ。帰るぞ。」
ジェスター
「ねー!!ほらー!!レミリアとフランも連れてく約束だったでしょー!!」
キュピル
「ハッ。すっかり忘れてた・・・。」
紫
「それはダ・メ・よ。連れていかせないから。」
紫が宙に浮かびながらキュピルの背中を蹴り無理やり隙間の中に突っ込ませる。
続いてジェスターの背中も足で押しだし隙間の中に放り込んだ。
二人が入ったのを確認すると隙間は無くなり、紫もその場から立ち去った。
・・・・。
・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・。
キュピル
「しまっ・・!?おーーーーい!!」
ルイ
「・・・・あ・・・あ・・・あの・・・。キュピルさん何処から・・・出て来たんですか・・・?」
キュピル
「ん?ルイか。久しぶりだな!」
ジェスター
「あれ?ここルイの部屋だね。」
ルイ
「ジ、ジェスターさんも一体何処から!!?皆居なくなったって心配して探していたんですよ!!」
キュピル
「そもそも今思い返せば何故最初に紅魔館に居たのか問いただしたい。」
ルイ
「・・・紅魔館?・・・あ、あの吸血鬼が住んでいた場所ですか?」
ジェスター
「あれ?ルイ知っているの?」
キュピル
「知っているも何も一緒に行った事あるじゃないか。事故に近かったが。」
ジェスター
「んー。忘れた。」
キュピル
「うおぉー!ちくしょー!紫め!!嵌めやがって!!」
ルイ
「何が何だか全然分りません・・・。」
・・・・。
・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・。
続く
追伸
あともう一話だけ続く(汗